休日にいそいそと英会話教室に通う友人を横目に見ながら、自分に英語は関係ないと思っていました。
そんな取り立ててなんということのないある日。
いつも通り朝オフィスのドアを開けると……。
視線の先にはなぜか外人さんの姿が(;・∀・)
「・・・・・・・・・・・・・・・・・なんで?」
この職場で「外人さん」と言って、思い浮かぶのは1人しかいない。
お世話になっているコンサルティング会社の社長の娘のボーイフレンドだ。1年前までは「彼氏」だったらしいのだが、とある事情によって「ボーイフレンド」に格下げとなった。・・・又聞きですが。
コンサルティング会社の社長の顔を見ると、彼が娘のボーイフレンドのアメリカンDであるという予想は正しいことを物語っていた。
話を聞けば、アメリカンDを職場近くの美容室に連れていくために、連れてきたきたのだという。で、肝心の社長の娘は朝からアルバイトのため15時以降に落ち合う予定になっているらしいのだ。
兎にも角にもとりあえず挨拶をせねばなるまい。とりあえず、
「Nice to meet you. My name is・・・」
自然の口からスラスラと英語が出てきた。すごいぞ、さすが俺。
が、ネイティブも真っ青な自分の英語に酔いしれていたのは、ここまでだった。
とりあえず自分の席についたものの、何を話して良いのかわからない。
いや正確には日本語では思い浮かぶものの、英語にまったく変換できない。何かベールに包まれたかのように、もやもやした霧の向こうに英語の断片がふわふわ浮いていた。
他のみんなも英語はさほど得意でないらしく、部屋の中は異様な静けさが漂っていた。
(いくらなんでも会話がないのもなぁ・・・、かと言ってアメリカンDを無視して他の人と話すのも・・・)
どうやらこの沈黙は他の人も自分と同じことを考えているせいらしかった。
しかし人間窮地に追い込まれれば、それなりにアイディアが浮かぶというもの。
自分はウェブ屋だ。なら、ウェブの利点を最大限活かせばよいではないか。
ウェブの利点といえば…………そう。Yahoo!翻訳だ。
この素晴らしいアイディアを試してみる価値はある。
さっそくYahoo!翻訳のページを開いて、とりあえず「休みはいつまでですか?」と聞いてみることにした。
When is a holiday until?
(Yahoo!翻訳)
自分としてはかなり判りやすくしゃべったつもりだったが、なんということか。相手にはまったく通じなかった。
何度も書いてある文を繰り返して読むと、そのうちアメリカンDが、「How long……」と聞き返してきた。
「Oh!Yes,Yes」と相づちを打って、ようやく会話が成立。
Yahoo!翻訳使えねぇ……。
やはり自分の英語で行くしかないと、心の中で密かにYahoo!翻訳を切り捨てた。
しかし先ほども述べたが、全てにおいて日本語の文章は思い浮かぶものの全く英語に変換できない(※1)。
(※1)英語に変換できない……日本語を英語に直している時点で、既にダメという噂。英会話とは言いたいことを英語で思い浮かぶようになって初めて本物という。
まず動詞がダメ。特に疑問文(5W1Hというやつ)の後に、どう文章をつなげて話したらよいか判らない。いや、それ以前に基本的な英単語がもう出てこない。
そもそも、「あなたの趣味(※2)はなんですか?」を英語で言えないのには愕然とした。
大学時代、毎日英語の論文を読んでいたのはいったいなんだったのだ。中学生から英語を約10年間勉強してきた成果はどこへ行ってしまったのか。
(※2)趣味……「hobby」という単語すらもう出てきませんでしたよ、ええ……orz
さらに驚いたのが、周囲の人間が自分の想像以上に英語が出来たという事実。「英語ができない」と言いつつも、昼食のときなどそれなりに会話をしていたのには驚いた。そして、その会話を聞いていた私が内容を理解できなかったということも。
しかし人間切羽詰まればなんとかなるもの。
ふと見るとアメリカンDの姿が見えないので、どこへ行ったのかと聞いてみればお手洗いという。
その後、少し待ってみても一向にアメリカンDは帰ってこない。
(ひょっとしてトイレの使い方が判らずに途方に暮れているのでは……)
慌ててトイレの前に行き、ドア越しに「トイレの使い方は知っているか?」と聞いた。不思議なことにこの時は日本語で文章を考える前に英語がスラスラと口をついて出てきました。トイレの英語で「bathrom」と言うことも瞬時に思い出していました。
そしてしばらくすると不思議と英語に慣れてきた。
アメリカンDがしゃべっていること(彼も努めてゆっくりしゃべってくれる)も理解できた。ただ相変わらず英語は話せなかったけど。
おそらく英会話教室もこんな感じではないだろうか。
否応ナシに英語を聞き話さざるを得ない空間に放り込まれることで、英語に慣れてしまおうという。
アメリカンDと一緒にいた時間は正味4時間ほどでしたが、滅多に味わえない経験でした。
ただせっかく英語を思いだしかけてきたけれど、これって使わないと忘れるんですよねぇ。
NHK教育テレビの英会話でも見て、勉強するか……。

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